ばねのことならアキュレイトへ。規格ばねから特注ばねまで豊富に取り揃えております。

TECHNOLOGY

技術情報

なべさんのやさしいばね講座「たかがばね、されどばね」

第3講「高温におけるへたり」

一般に金属は低温になると剛くなり、高温になると柔らかくなります。
これは『鉄は熱いうちにたたけ』という言葉に代表されている通り、鉄は高温(赤熱中)だと軟らかくなり色々な形状になります。
しかし、これを冷ますと硬くなり複雑な形のものが得られ辛く、時にはポッキリ折れてしまいます。
以上が鉄の高温から低温までの性状を示したものですが、ばねは100℃~200℃で長時間使用されることがあり、こんなときは高温におけるへたりが問題になります。
こんなとき、ばね会社はどうするでしょうか?

① ばねの材料を高温用のものとする。
② ばねをクリープテンパーして製作する。

①は通常のばね会社でよく行う方法で、例として今までピアノ線で製作していたものをオイルテンパー線に変更、あるいは場合によってばね用ステンレス線にするといった方法です。
②はあるばねを製作する時、ばねの高さに十分余裕をもって作り、締付け工具で密着まで締め付け、クリープテンパー温度で適切時間過熱後あらかじめへたりを十分起こさせてしまう方法です。

図4図4は材料の違うコイルばねで、最小応力28kgf/㎜2とし、最大応力をいろいろと変えて7.5×106まで疲労試験(温度は121・177・205℃の場合)を行った後に、どの位ばねの反力が減っているかを測定したものです。
もちろん、最大応力が大きいほどへたり量が大きいことがわかりますが、材料によって差異があることもわかります。

 18-8ステンレス < CrV鋼 OT線 < C鋼 OT線 < ピアノ線

上記が一般的な材料別の傾向となっています。

 

図5図5は 250・300・350℃で 20~60分クリープテンパーをしたばねと、しなかったばねについて温度 250℃・締め付け応力 75kgf/㎜2で2~16時間熱間締付け試験をした後のへたり量を示したものです。
クリープテンパーしないばねのへたり量は非常に大きいが、あらかじめクリープテンパーを施したばねのへたり量は非常に少なくなっています。
上記の材料変更にしろ、クリープテンパーにしろ、いずれにしても設計の段階で使用環境に耐えうるばね仕様であれば問題ないのですが、不具合発生後の対策として採られるケースも少なくありません。

依頼する側も請け負う側もお互い“このばねはどの様な使われ方をするか”、初期段階での情報の共有が大切といったところでしょうか。

今日はこれまで。