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技術情報

なべさんのやさしいばね講座「たかがばね、されどばね」

第10講「ベーナイト鋼帯」

ベ-ナイトとは鋼の組織名で、これは高炭素鋼を変態点以上に加熱してから、変態点以下の種々の温度に保持し、その各温度での変態の起こり方を米国の Bain 氏が研究して、いわゆる S曲線(高温から低温まで変態の起こる温度が S 字状である)を作成しました。
そして 230~550℃に急冷して保持し等温変態*1させた時の顕微鏡組織が、焼入れマルテンサイトを焼戻ししてできるトルースタイトまたはソルバイトに類似しているのを発見しました。
これがベーナイト組織で、以後発見者の名前にちなんで命名されたものです。

*1 等温変態…高温で赤めた鋼を水や油で冷却するときは、表面から順に冷却されます。これに対してある一定温度、例えば250℃で冷却すると10 秒後も1 分後も250℃です。変態はⅹ秒、またはⅹ分後におきます。なお、試料の厚さや径が数㎜以下のものにしか適用されません。

下図(図10)は等温変態図です。この図は縦軸に変体温度、横軸に保持時間(対数目盛)をとって描いたものです。
これを、TTT(温度-時間-変態)曲線、または曲線の形からS曲線といいます。

図10 等温変態図

最後にベーナイト鋼の特性を箇条書きにまとめておきます。

ベーナイト鋼帯の特性(焼入れ・焼戻し品との比較)
1. 焼入れ焼戻しの必要がない。
2. 靭性があって成形性がよい
3. 成形後の変形が少ない。
4. 耐摩耗性が優れている。
5. ばね性が優れている。

今日はこれまで。